シータ姫の誘拐と救出劇 ケチャッで描かれるラマヤナの中の題材

Ramayana

西暦紀元前のインド叙事詩ラマヤナ物語より

注:バリ・ヒンドゥー教はインドのヒンドゥー教の流れを汲むので、インドの古い物語が描かれた芸能が多いですが、神様の名前や物語の内容がバリ風になっていて、本場インドとは違います。
また、ジャワ島のワヤン(影絵)などで使われる名前とも発音などが異なる事にご注意ください。

物語

アヨディア王国の王位継承をめぐり、継母の計略によって、実の父である国王から国を追放されたラーマ王子と妻のシータ姫、そしてラーマ王子の弟ラクスマナの3人は、ダンダガの森の中でひっそりと隠れるように暮らしていました。

ある日、森を散歩していた姫は、その姿をアレンカ王国(現スリランカと伝えられる)の大魔王ラワナに偶然見られてしまいます。輝くような美しさに惹かれた大魔王ラワナは、美しいシータ姫を自分の妻にすべく、自国へさらう策略を企てますが、ラーマ王子とラクスマナの存在が邪魔で手を出せません。

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Rahwana, Kerajaan Alengka(Sri Lanka)

ラワナは家来マリチャを黄金の鹿に変身させ、シータ姫の前に出没させて注意を惹こうとします。目論見通り姫はその鹿を欲しがって、夫に捕まえるように頼みます。

鹿の出現を不審に思いながらも、弟ラクスマナに姫の身を守るよう命じて、自ら森の奥に入るラーマ王子。なかなか捕まらない鹿を追って、ようやく矢で仕留めると、鹿は悲鳴をあげて倒れ、家来の姿に戻りました。

森の奥からの突然の悲鳴に、夫の身に何か起こったのでは?と不安になったシータはラクスマナへ夫を追うよう頼みますが、シータを独りで残す事を心配したラクスマナは、これを拒みます。

夫が亡くなれば、私を妻にして王国を持てると思って、わざと見殺しにするのですか?と問い詰めるシータ姫。

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Shinta(Shita) di Hutan Dandaka

ラクスマナは、姫の怒りに、仕方なく森の奥へ向かうことにしましたが、念のため姫の周囲に円陣を描いて結界を作って、身を守っておきました。

この結界のせいで姫に近寄れない魔王は、老僧の姿に身を変え「数日何も食べていないので、もう歩けない。水を汲んで来て欲しい」と言葉巧みにシータ姫を騙して、円陣から出るように仕向けます。心優しいシータ姫が一歩踏み出した途端、老僧は魔王の姿に戻り、姫を軽々と抱えて、自国へと向けて飛びたつのでした。

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shinta & trijata

ラワナがシータ姫をさらって飛んでいる時、聖鳥のジャタユに出会います。ジャタユはラワナの悪行を見て体当たりでこれを抑止しようとしますが、最後にはラワナの剣によって、傷ついてしまいます。

アレンカ王国で幽閉されるシータ姫を、ラワナの姪トリジャタが懸命に慰めますが、姫は嘆き悲しむばかりの日を送ります。

一方、姫を失ったラーマ王子は、猿神スグリワの手助けを受け、その臣下である忠誠心の強い白い猿ハノマンへ、シータ姫の捜索を頼みます。

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アレンカ王国の庭で悲しみに沈むシータ姫を発見したハノマンは、ラーマ王子の使者である事を伝えて姫へ近づきますが、何にでも変身できる大魔王ラワナではないかと警戒する姫に、なかなか信用してもらえません。

しかし、最愛の夫であるラーマ王子から預かってきた指輪を見せると、姫は途端に明るい顔を見せ、自分が無事である証拠にと、金の簪をハノマンに預けます。

シータ姫の無事を知ったラーマ王子はハノマン率いる猿の援軍とともに、アレンカ王国へ向かい大魔王ラワナを相手に戦います。

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そして激しい戦いの後、見事に勝ったラーマ王子は、シータ姫を救い出して、無事に連れ帰るのでした。

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