私には、危機管理能力が足りないなぁと思った話。
友人が「欧米人があなたを家での食事に誘っている」と連絡してきた。
向こうは、私のことを公演で見たことがあるらしいけれど、
出不精のワタクシが、知らない人の家に行くなんて事はありえないざんす。
私は英語が話せないから、食事が楽しめないし、あなた独りで行って来れば?と返事。
「挨拶くらいしかしたことないけど、いつも笑顔の人が良さそうな老人だよ、一回だけ!」
基本的に、揉め事や問題を起こす事が嫌いなバリ人は、愛想良く、我慢強く対応する。
私が見ると「えええ?」な人でも、バリ人を通すと「いい人」になることが多い。
だから、挨拶くらいしかしたことない人を「良い人」というのの信用が、どうもできない。
しかし、しつこく伝言されて困っていると言い続けるので、私の方が折れて、
食事は嫌だけれども、近場のウブドで短時間のお茶なら。と返事をした。
それが、間違いだった。
約束当日、家を出ようとしたら「家に食事を用意したから、こちらに来て」と電話。
「は?」である。
食事が面倒だから、お茶ならOKだったのに、人の話聞かない人なんだなぁ。
それに20分以上かかる場所に自力で来いと?
ワタクシを呼びつけるなら、ロールス・ロイスくらい用意したまえよ。
そして、雨を心配しながらバイクで家に到着。
満面の笑みの欧米人が待っていました。
欧米人の文化なのだろうか家の中を一部屋ずつ案内され、新築ヴィラの内覧会みたいな時間が過ぎ、食事タイム。
なぜ来いと言われたのか、その食事の時に、やっと判りました。
「隣に日本人がヴィラを建てたが、あいつら、英語全然判らなくて、困ってるのさ、ちょっと通訳してくれないかい。」
めちゃ柄の悪い言い方ですが、私の翻訳コンニャクでは、この様に私に伝わりました。
ムッ!としました。
英語は私だって判らない。でも、判らない分、相手の表情とかで、内容を読み取ろうと誠心誠意で頑張るので、
笑顔の裏に冷たいものが走るのは思いっきり通じたさ。
あああああ、こういう人、時々いるわ~。
見た目はものすごいジェントルマンで、いつもニコニコしているけど、裏の顔は全く違うっての。
仮面の笑顔に気づくのが、ちょっと遅かった。
さて、通訳内容。
なんでも、最近、隣のヴィラに修理に来た電気技師が大怪我をしたそうだ。
隣家では以前から小さい揉め事や、気になる問題が多く、その原因と思えるのが祠(ほこら)。
祠がトイレの下側に建っていて、バリの風水上、とても良くない。
バリ人スタッフ達が、それを直さないと、もっと悪い事が次々と起こると
怖がっているから、すぐに対処するよう伝えて欲しいと。
そんな説明、面倒くさい~!!!
確かに祠は神聖である。
サンガー(家寺)の方位とか、祠の位置とか、バリ島のルールがある。
ただ、斜面だったら祠が家より下側だったり、敷地が狭いなら、家屋と近い位置だったりする設計もあるんでないの?
私でなくスタッフから教えるべきだし、スタッフが言い出せないなら貴方が代弁すればいいのでは?
しかし、隣人には英語が通じないから。の一点張り。
だからって、知り合いでもない日本人の私に白羽の矢かい・・・?!
いや、自分が悪者になりたくないから、ノコノコやってきた無関係な日本人に言わせればいいと?!
そこに偶然、日本人オーナーがやってきた。
ここで登場しなければ、速攻で通訳拒否して、ぶっちぎりで逃げ帰ることが出来たのに。運悪いなぁ、私。
日本人オーナーは、夫婦とその御母堂で、普段は日本に居て、年に何回かバリ島に来るらしい。
御母堂(以下お婆ちゃん)は、欧米人に大変御執心の様で、自らすすんで彼にガッツリ抱きついてのハグである。
英語が話せないのに、マナーだけがえらく欧米ナイズされとるな・・・とかいう感想は置いといて、抱きついたまま離さないでずっと「パパァ」と言っている。
ちょっ、、、私、同じ日本人だから、、、、、日本人の年齢は判るのよぉ。。。
パパは、たぶん、お婆ちゃんの下級生でないの?
さっき「隣の日本人は・・・」を聞いたばかりなので、
そいつの笑顔に騙されないで~~~~~!と教えたく、でも無邪気なお婆ちゃんの様子を見ていると、ショック受けそうで気の毒で、
ああ、なんか、危なっかしくて見ていられない。
そして、早速、先ほどの祠の話をさせられたのだけれど
・・・逆切れされました。
私が。
だから面倒くさい~!!!
お婆ちゃん、突然、私に向かって、怒りはじめました。
「このヴィラはね、日本で有数の霊能者にわざわざ見に来てもらって、
この場所には素晴らしいパワーが流れているとお墨付きをもらったのよ!
そんなふざけた話があるわけは無い!!
あなた、いい加減なこと言わないで!!!」
って・・・
私、言ってないもん・・・伝えただけだもん・・・
「そうやってバリ人は何でもかんでも縁起が悪いとか、
自分の都合良いように運ぼうとして!!
そもそも、バリ人は信用できないのよ!!!
日本に帰国して留守にする度に、物が無くなったり、家具の位置が変わってたり!!
今回もね、庭で優雅に昼寝をしようとベンチに寝そべったら、
何か雰囲気が違うからよくよく見たら、植木が入れ替わって 」
・・・とその時、
欧米人が「花の事を言ってるのだろう?犯人なら知ってるよ。」
ってボソッと英語で言いました。
日本語で会話していたのですが、ゼスチャー等で判ったみたいです。
「それ本当?誰なの?」と聞くと
「私はスタッフの誰が盗ったかも知ってるよ。はっはっは。けど通訳はしないでくれ」
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
お婆ちゃんは
「あのハイビスカス(ブーゲンビリアだったかも)は、普通の花とは違って、珍しい種類で、値段も格段に高かったのよ!
なのに、スタッフは、何も触ってない、これは同じ樹だと言い張るのよ。
自分が特に気に入って買ったのに、間違うわけが無い。絶対におかしい。
スタッフがグルになってるんじゃない?!」
と続けています。
一気にまくし立てられ、いろいろな考えが頭の中をグルグル回りましたが
とにかく一方的に話をされるので反論の余地もなさそうだし、
また、私は、ただの通訳なのに、こちらに向けてキツイ言い方をされるのにもカチン!とも来ているし
バリに住ませてもらっているのに、バリの事を理解しようとする姿勢が無さそうなのが
「私とは相性が合わない」と瞬間に思ったので、そのまま話を流しました。
この欧米人も、この日本人も、きっと私とは相反するタイプ。
とにかく、この人達に関わりたくない、早くこの場を去りたい。
という気持ちが大きく、さっさと通訳を終わらせて帰りました。
同じ日本人として伝えるべきかとも思いましたが、
バリに住むのに、バリ人を軽蔑する人を手伝いたいという気が起こりませんでした。
留守中はヴィラを人に貸してお金を稼いでいるという話も
観光ビザで入っての金銭取得は、それは違法ぢゃん?!と、
善悪の判断についても私の考えとはそぐわない、関わりたくない要因でした。
恐らく、伝えない私も悪いのだろうけれど
落ち着いて話しても聞いてくれなさそうな勢いだったし
怒りで血圧があがって倒れられたりでもしたら、もっと申し訳ないし、
「そうですか、私が出しゃばって、すみませんでした。祠の件は気にしないでください」
って謝って帰るのが最善と判断したわけです。
こんな欧米人の隣に住んで、日本人オーナーさんの未来に問題が起こりませんように。とだけ願います。
ああ、行かなきゃ良かった。
これからは、しつこく何か言われても、最初の自分の印象がNOだったら
関わらないようにしよう。と反省。
みなさんも、危機管理能力が欠如していると、予期せぬトラブルに巻きこまれますよ~!