ラジャパラは日本の羽衣伝説によく似た内容の物語です。
ラジャパラ物語のストーリー
ある日、天界(カヤンガン = Kahyangan)から天女(ビダダリ = Bidadari)たちが地上に降りてきました。
彼女達は森の中の池へやって来て、池のほとりに天女の衣を脱ぎ、楽しく沐浴をしていました。
そこへ、ラジャパラという猟師が通りかかりました。
ラジャパラは美しい天女たちが池で沐浴をする姿を見つけました。
「なんて美しい天女たちだろう。どうすればこんな美しい女性を妻に出来るだろう?」と、とっさに考え、
すぐに良いアイディアが浮かびました。
彼は天女たちの中で、自分が一番気に入ったスプラバ(Dewi Suprabha)の衣(スレンダン)をこっそり盗みました。
天女たちが沐浴を満喫し終わり、天界へ戻るために各々の衣を手にして飛び立とうとしている時、スプラバは自分の衣が消えている事に気がつき驚きました。
天女たちは辺りを探しましたが、衣はどこにもありません。
衣がなければ、飛ぶことが出来ません。しかたなくスプラバを残して、天女たちは天界へ戻ってしまいました。
蔭から様子を伺っていたラジャパラはスプラバに近づき「自分と結婚してくれさえすれば天女の衣は差し上げます。」と申し出ます。
ラジャパラの要求を拒んだスプラバですが、天界へ帰るためには天女の衣を取り返さなければならないと考え直し、妻になることに同意をします。
二人の間には、男の子が生まれました。
この子が五つになった時、天女は天界へ戻るために衣を返して欲しいと訴えます。
ラジャパラは衣を返し、天女は息子との別れを嘆きながら天界へ帰っていきました。
ある日ラジャパラはまだ幼い息子を隣人に託し、瞑想しに森へ入りました。
数年が立ち、息子は、国王を助ける立派な人間に育ちます。
国王に忠実に従いながらも、父のラジャパラの事を忘れられず、森へ探しに行く許可を得ます。
森では様々な困難に会いながら、それを解決していきます。
しかし、なかなか父の姿を見つけることはできませんでした。
そんな時、国が危機に瀕している。と遣いの者が助けを求めてやってきました。
悩みましたが、父を探すのは諦め、国へ戻って、国王を助けるのでした。
という、お話。
天女の名前はケン・スラシー(Ken Sulasih)とされる文献もあります。
また、衣を隠した事は最初から秘密で、天女はラジャパラの留守中に偶然箱の中から見つけて逃げた。という説もあります。