バリ舞踊の衣装は高価なので、ほとんどの踊り子は個人では持っていません。自前の衣装を持っているのは、職業踊り子か、踊りを学ぶ我々外国人くらいでしょう。公演では楽団が管理する衣装を着用し、寺院などで踊る際には、レンタルしてきたり、所属楽団のを借りて、皆さんそれを着ます。
つまりバリ舞踊の衣装というのは、不特定多数の人間が「洗えない」衣装を、繰り返し着用するわけ。
手入れがきちんとなされている衣装は良いのですが、ひどいものだと、カビていて、踊る前に、カビでくしゃみ連発とか、あります。私の最悪の経験は、踊った後、上半身がミミズ腫れみたいになり、痒くて痒くて通院 というのも(毛虫の毛が付着していた)
また、体臭の強い踊り子さんも結構います。衣装を手渡されて、ほのかに「グァバ・ジュース」か「シルサック・ジュース」みたいな香りがするな・・・と思って着たら、私の体温と汗で、せっかく乾いていた芳香カプセルがはじけたんでしょうか、すんんんごいワキガ臭がしてきて
「私じゃないです!私が発してるんじゃない!」と言いたくなるような事も。
よく「踊る時にトランスする」といいますが、実は、この臭いのせいで気を失いそうになるんでは?とか、思っちゃったり・・・
さて、バリ島で踊った事がある方は、恐らく何度も目にした事があると思いますが、衣装には、マジックで楽団の名称やレンタル店の名称が書いてあるんです。
また、冠(グルンガン)や仮面(トペン)には、裏側に個人名が書いてあるものもあります。
手作りであるバリ舞踊衣装は、サイズが微妙に違うので、自分のサイズと合うものに名前を書いとくみたいです。
サイズが合わずに小さかったりすると、仮面は呼吸がしにくいし、冠は額に傷が入って血が出たり、翌日内出血したり、たんこぶのように腫れて、数日ズキズキするのを学習してきたので、知ってる楽団の衣装だと、自分の体型に合う踊り子さんの名前をパパッ!と探し出して、それをいの一番に「奪い取る」という技も獲得。しかし、骨太mayumiよりガッシリしたバリ人踊り子はいないので、皆さん親切に「あなたの方が頭デカイから」といって、一番大きいサイズを、たいがい譲ってくれますけど。
ある時、私がプンビナとして参加する楽団から、レゴン舞踊の衣装を新しく6組揃えたのでサイズ合わせにきてネと連絡が入りました。
もちろん、一番乗り目指して、走りました! 到着した時には、既に3番目でしたが(みんな考える事は同じ)
そして、ピッタリのがあったら、自分の名前を書いといて、という指示。
今回初めて、他人の持ち物に自分の名前を書く。という経験をしました。レゴンのグルンガンなんて、自分で持ってない(多分これからも持たないだろう)から、すごく嬉しいわ~!!!
金粉が手に落ちて来るような真っサラの新品!緊張の瞬間!
ま、つまり、これが一番デカいサイズだったのさ。
でも、水性ペンなんです・・・自分が踊った後に「おでこに名前が転写される」という状態を避けるため、わざと後頭部側に名前を書いたのだけど、この後、汗っかきの踊り子がコレ使ったら、せっかく書いた おなまえ が消える・・・
初めて自分の名前が入った楽団の新品衣装。なんとしても、それは防ぎたい!
今度、落ちない油性ペン持参で、上書きしてくるよ!!!
1個だと不安だから、コスレて消えないように、冠の内側にびっちりと、経文でも書くみたいに。
「mayumi」って書いてあるグルンガンは、避けた方がいいわよ。なんか呪われてて、耳だけちぎられるらしいから・・・と、踊り子ちゃん達の間で噂になるくらいの密度で書き込んでやる。
デカいのはど~れだ?
【あなたの踊り子度テスト】 一個でも当てはまれば、立派なバリ舞踊家
グラスや洗面器の裏に、ペンキでイニシャルを書く
扇風機とかペンの値札シールを貼がさない
洋服のアイロンかけは、最後に畳んだ折り線もしっかり入れる
名前だけでなく住所や電話番号も入れてブログにコメントを書く