日本でのイベントのために、新しい作品を用意する事になりました。
- ・演奏者の数が限られているので、少人数編成の楽器で、賑やかに聞こえるように
- ・日本に住むバリ人が指導しやすいよう、既にある曲を使って
- ・踊り手に素人が混ざっても、それなりに舞台映えするものに
というコンセプトです。
上演時間が長めらしいので、既にある曲なら、レゴンだな???
だったらチョンドンが物語の進行と一緒に、ストーリーを台詞で言えば、バリ芸能知らない人にも意味が判るよな~。
どうせなら、舞踊あり、唄あり、劇あり、仮面舞踊も見れちゃう!という、日本のイベントで数種類のバリ芸能を少しずつ知ってもらえるものが良いわな~、とだらだらだらだら考え続けました。
担当者と何度かやりとりし、作品の骨格が徐々にできあがった頃、偶然、ウブドのホテルで働く日本人の方に、ディナー・ショーで公演をしないか?と誘ってもらいました。
丁度良い機会なので、日本へ送るビデオ撮影を兼ねて、乗りこむことに。
早速、演奏者を召集して、曲と舞踊の創作に入りました。
公演するとなると、だらだらモードがシャキン!となって、何度かミーティングや練習を重ねるうちに、明確にやりたいものが見えてきますナ。
バリ・ガムラン奏者たるもの、練習にコピとジャヨー(バリ菓子)は欠かせない!
奏者達とは数年来、頻繁に一緒に過ごしてるので、コミュニケーションが楽! もともとある曲「レゴン・ラッセム」を原型に選んだので、説明も楽! 太鼓奏者は私が動きを見せれば、期待通りの音を入れてくれます。彼は舞踊家でもあるので、とても踊りやすいんです。もちろん私が間違っても合わせてくれるし。これ、重要。ふふふ。
何とも恵まれた状況で生まれた作品、楽器にもあれこれ工夫を凝らしたので、演奏者4人とは思えない分厚い演奏音が出来ました。むふんっ。
個人の楽器を借りるので、その方に敬意を表し、名前をグループ名に「Gong Sang-LAH-SUN」と決定。
演目名も「the story of Princess Rangkesari ~ ランケサリ物語」に決定。
ラッセム王にさらわれたランケサリ姫を主人公に置いた物語です。いつも泣いてるだけじゃありませんゼ、姫は!
ルバブ3台、スリンも4種類、1回目公演は踊り手も演奏に加わる大道芸人状態でした
そして、本番当日。
・・・三脚、忘れた!
あぁ、ビデオ撮影したいから、公演依頼を受けたのに。
ホテルのスタッフに撮影を頼みたくても、ディナーの準備で全員大忙し、当然、誰もビデオ握って1時間突っ立ってる余裕なんてありませんわ。
仕方なく撮影を諦めたんですが、でも、この作品、お客様に好評だったのか、ホテルからは、その後6回も依頼が来て、この夏のちょっとした定期ディナー・ショー状態に。
この楽器編成は小規模ホテルにはぴったりの大きさの音を出すのと、最初から「外国人が好みそうなバリ芸能」という設定でアレンジしたのがウケタようです。
ビデオも、なんとか撮れました。
回を重ねるごとに、音の隙間が気になり始めたのか、演奏者は自分達の出演料を削って演奏者を1名増やし、音をより賑やかにしました。小さいとこにこだわるなんて、プロですな。
演奏者追加のおかげで、叩いて踊る大道芸人から、唄って踊る宝塚ジェンヌに昇格!
この作品、本来はチョンドンが物語の語り部として、踊りながら舞台解説もする、ストーリー・テラーの役目を果たす予定で、欧米人向けに、チョンドン役の私「わんす あぽな た~いむ」って、一生懸命英語を暗記!!したのにぃぃ、ホテル側でストーリー解説のMCが用意されており、台詞なしの唄だけの踊りに変更となりました。わはは。(でも英語苦手なんでホッとした)
踊れない人をターゲットにしたウェルカム・ダンス兼カカン・カカン舞踊も、ホテルの都合(=予算)で使えませんでした。私の頭の中でグルグル渦巻いていた舞台設定は、かなり規模縮小&内容変更になっちゃった。
ランケサリとラッサム王
ガルーダ鳥とラッセム王のバトル・シーン。客のワイン・グラスをひっくり返す勢いの元気なガルーダ。
そして、定期ディナー・ショーは、思わぬ展開に。
・・・なんか、いつも、こういうパターンだな。
このショーに、演奏者W氏がやってきました。「日本人スタッフから、これと似た作品を作れと言われた。このホテルの別館でやるんだよ」って、堂々と我々の前でおっしゃりました・・・
メンバーは、それを聞いて「何だかな~」という微妙な顔をしてます。いや~、この楽器編成は真似られたくないなぁ・・・だって皆で長い時間かけて編み出した(?)んだもの。
さらに「アンセル(曲の合図)の数を数えられるよう、後でビデオをコピーしてくれ」とも・・・
楽器も「同じの貸してくれ」と所有者に言ってきらしい。わ~お!
それ、似た作品を新しく作るんでなく、まんま作品をコピーするんじゃないのん?????
さすがコピー社会のインドネシア。
何も考えてません。
パクリを堂々と。
右アガムと左アガムだけ変更して「自分のオリジナル」って言うのが容易に想像できます。
もちろん、我々だって、昔からあるレゴンの曲が原型なんだけど。てへへへへへ。
でも、少しでも自分たちのカラーを出すため、別のフレーズを挿入したり、衣装や踊りに変化を加えたり、かなりな工夫をしたんだよねぇ・・・ああ、やっぱり著作権とか皆無なバリ島。
楽団メンバー、かなり怒りました。
実は、私の不注意でもあったんです。この日本人が他人の作品やアイディアを自分のものだと盗用するのは、これが最初ではないんです。狭い交友範囲の私の知っているだけで三作品がヤラれてます。
上演しないか?と声をかけられて、ホイホイ乗った私が馬鹿だったんです。
メンバー皆に誤って、大反省。
何でそれを先に説明しないのか!と怒られました・・・穏便にすませようとするバリ人気質らしく最終的には「あぱ・ぼれー・ぶあっと(仕方ない)」と言ってくれましたけど。皆が頑張った作品であるのを知りつくしているだけに、申し訳ない気持ちでいっぱい。
コピーされるというのは、評判が良いからだって思って諦めよう。モラルが欠けた人を相手にしても仕方ない。 次回、別の場所で、もっと内容を濃くした公演をやろうな!と。慰められました。
ああ、男っぽい。
そうだね~、踊りも音楽も、もっと自分たちのスタイルにして完成度を高めようね~。
このせいで予定のイベントにオリジナルとして作品を持参出来なくなったのも、悲しい。
そうなんです、今回は残念ながらオリジナル作品を持参できませんでした。イベントはインドネシアの子供達の学資を集めるチャリティ・イベントでした。しかし、次の機会には「極秘」で新作を作って参上します!待っててください!
10代から70代まで。メンバー強化でパワー・アップ! 復活!! Group Sang-LAH-SUN
以前、私が日本で踊った時に写真を撮られた日本人フォトグラファーさんから「バリに写真を撮りに行く」との連絡が。
ランケサリ姫&ラッサム王も、美男美女にパワー・アップ!
私の踊りを観て以来、ずっと、その時の衣装「チョンドン」の踊り手の写真を現地で撮りたい。という情熱を持ち続けておられたのが、急に実現。
写真の個展準備のために、可愛い踊り子ちゃんを撮影したいという御話ですが、それとは別に「機会があれば、是非、バリ島でも再び、私の踊りを」というリクエストに応えるべく(最初は社交辞令と思いましたが繰り返しおっしゃるので、がんばって準備しました)Sang-LAH-SUNを再結成して、ランケサリ物語を写真撮影用に上演しました。
さあ、数年後に予定されてる写真展、私の姿は使われるんでしょうか?ふっふっふ。
風邪で声が潰れ、今回チョンドンは歌なし。ところがルバブが歌うように曲に入ってきて感激。
フォトグラファーさんに楽団宣伝用の写真も提供してもらいました。本当は、もっと素晴らしい写真を撮られますが、ここでお借りした写真は、腕が発揮できていないことをあらかじめお断りしておきます。初めてのバリ島で、ここまで公演の照明が暗めとは思わず、ぴったりのレンズを準備していなかったそう。
ランケサリ姫は、お肌ピチピチの現役女子高生! チョンドン役の私は衣装がピチピチ!
楽曲と舞踊で1時間フルの公演。メンバー、みな、すっごく満足しました。今回7回目となるランケサリ物語、初めて心から楽しんで上演したんではないでしょうか? 自分たちで拍手してたから。
第6回Kホテル公演(左)と、第7回・復活公演(右)と、ノリの違いを比べてみてください。
そしてね、写真撮影の4日後には、会場として使わせてもらったホテルから、ランケサリ姫公演のディナー・ショー出演依頼が。 わおわお、すごい!! すごいよね?! うん!
本当にホテル受けする作品なんだわぁ、これ・・・と実感。
こりゃ、もしかして、舞台監督井上真由美の三大代表作になる?! (あ、後の2つはハムレットとカルメンっていうの。あらあら、悲劇ばっかだわな)
ラッサム王は、普段は仮面舞踊を踊ってて、今回、初の色男メイク。とても照れてました
ガルーダは「写真に残るから」と自前の衣装を持参して(実際は見えないんですが)張り切ってた
パタパタパタ! おおいに客に受け、満足顔のガルーダ